緊急災害現地対策本部長に就任した伊藤東北支部長のインタビュー
- お知らせ
- 2011(平成23)年4月8日
二次・三次災害防止こそが肝要
復興工事で足場からの墜落災害を出してはならない
緊急災害現地対策本部長に就任した伊藤三千男全国仮設安全事業協同組合東北支部長
今回、東日本大震災が発生し、多数の被災者及び死亡が確認されたほか、さらに原発問題で放射能汚染や計画停電などで思うように工場が稼動できず東日本経済に大きな打撃を与えた。東北の仮設業界でも、資機材が流されたところもあり、業界に与える影響も極めて大きい。今後、復旧・復興工事にあたっては、仮設業界の役割は、資機材をスムーズに供給する面で重要といえる。今回、全国仮設安全事業協同組合は3月25日に緊急理事会を開催し、伊藤三千男東北支部長は、緊急災害現地対策本部長に就任した。「復興工事で足場からの墜落災害を出してはならない」と語る伊藤緊急災害現地対策本部長に話を聞いた。
—今回の東日本大震災でどのような対策を採るべきだとお考えですか
伊藤 まず冒頭に、3月11日の東日本大震災により被災された皆様に、心からお見舞いを申しあげますとともに、残念ながらお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表します。我々仮設業者の中にも、社屋ごと足場等の資機材を津波に浚われたり、海沿いの組合員や関連業者は甚大な被害を蒙った会社もありますが、そのような状況だからこそ、我々ができる事を積極的に協力したいと思っております。
組合としても、支部ごとに斡旋窓口を設け、資機材調達の調整をはかっております。ただし、今後の問題として、放射能を浴びたレンタル資機材の回収をどうするかという事を二次被爆の可能性も鑑み、組合全体で熟慮し、共同歩調をとっていかなければならないと思っております。
—震災当日について
伊藤 当日は、秋田市の秋田中央建設会館で、アクセス東北支部の仮設安全監理者資格取得講習会を開催しておりました。(本来の2日間受講日程をゼネコン向けに1日に短縮した講習会)
私は講習会開始時に簡単な挨拶をさせて頂き、後を滝沢博明東北支部安全監理室長に委任し弊社(城東産業)の秋田支店に戻っておりました。
工場で落下試験の結果をお客様に説明している最中に地震が発生したのですが、船に乗っているような激しい揺れを感じ、社員を屋外に一時退避させました。揺れは激しかったもののまもなく収まり、その時点ではこのような大惨事に及ぶとは思いもよりませんでした。弊社の仙台支店は、仙台市若林区にありますが、資材の落下や敷地内に多少の地割れはあったものの(一時は、事務所内に備品が散乱し悲惨な状態との報告あり)、2日間ほどで通常業務に戻れました。
社員の中には、自宅が床下浸水したため、まだ戻れずに支店の二階で寝起きしている者もいますが・・・。
講習会場の状況は確認すべく何度電話してもつながらず、「講習会場では、会館の方の適切な誘導と受講者の迅速な行動により、参加者全員に修了証を渡した後で解散し、滝沢室長は急遽レンタカーで仙台へ戻って無事だった」との報告を受けたのは、3日後でした。
地震直後は停電で電話の充電もままならず電気の大切さと有難さを痛感しました。今は、乾電池式充電器を出張用品に加えています。
—-復旧については
伊藤 早く復興して欲しいとは思いますが、放射能漏れも絡み、難しい問題が山積しているのでかなり時間がかかると思います。
ただし、落ち込んでばかりもいられません。これから本格的な復旧・復興工事に入りますが、我々は足場からの墜落事故防止のため、安全衛生規則の遵守と安全衛生部長通達の周知徹底をはかり、二次・三次災害が起きないようにしていかなければなりません。
組合として具体的な方法を提案し、復興に携わる方々の安全を守りたいと思います。今回の復興工事でそうした活動が実現できれば、今後は全国に拡大できると思うので、それが理想ですね。
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